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コンデンサ方式のバッファモジュール :DC電源の瞬停時に高速かつ確実にブリッジ

Maintenance engineer facing a power outage because of missing power buffering.

このブログ記事では、コンデンサ方式のバッファモジュールの技術要件、選定基準、用途での限界について、実例を交えながら解説します。

停電は、電気系統の運用継続性に深刻なリスクをもたらします。ドイツでは、SAIDI(System Average Interruption Duration Index:平均停電継続時間指標)に基づく最終消費者1人当たりの年間平均停電時間が12.2分*とされています(2022年時点)。これに対し、米国では125.7分**となっています。

停電の原因は、天候の影響(氷結や落雷など)から送電・配電段階の技術的故障、妨害やサイバー攻撃によるグリッド構造への意図的な介入まで、多岐にわたります。

特に産業用途では、DC側での短い電圧遮断でも重大な障害を引き起こす恐れがあります。例えば、予定外のシステム停止、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)でのデータ損失、ドライブコントローラーのタイミングエラー、負荷の制御不能な停止による熱的・機械的ストレスなどです。

そこで、重要なDC負荷を保護するために、無停電電源(DC-UPS)とバッファモジュールが使用されています。この2つは以下のような基準で分類されます。

  1. ミリ秒単位の瞬停時のブリッジに適したコンデンサ方式のバッファモジュール
  2. 数分から数時間に及ぶ長時間のバッファリングに適したバッテリー方式のDC-UPSシステム

このブログは、実際のアプリケーションシナリオを交えて、バッファモジュールの技術仕様、意思決定要因、そして運用上の限界を考察する二本立て記事の第1回です。第2回の記事ではDC-UPSソリューションを取り上げ、長期的に信頼できる電源を確保する上で果たす役割を詳しく解説します。

「産業用DCシステムでは、瞬間的な停電でも、多額の損失をもたらす障害を引き起こす可能性があります。プルスは短時間のバッファリングに適したコンデンサ方式のモジュールと、長期的な耐障害性を実現するDC-UPSシステムによって信頼性を確保しています」

コンデンサ方式のバッファモジュール:ミリ秒単位の停電時に信頼性の高いブリッジを実現

ごく短時間(通常は数ミリ秒単位)の瞬停や電圧変動であっても、産業システムに重大な影響を及ぼす可能性があります。標準的な産業用電源には、通常25~50ミリ秒の停電時にブリッジする内蔵のホールドアップコンデンサが搭載されていますが、電圧の変化に敏感なアプリケーションでは十分でない場合があります。

そこで、バッファリング時間を延長するための理想的なソリューションとなるのが、電解コンデンサを備えたコンデンサ方式のバッファモジュールです。このモジュールには次のような特長があります。

  • 公称負荷下で最長200ミリ秒の停電時にブリッジするように最適化
  • コンパクトでメンテナンス不要、設置が簡単
  • 広範な温度範囲と長寿命(通常10年以上)に対応した設計

停電時のブリッジ時間は、コンデンサに蓄積されたエネルギーによって決まりますが、これはコンデンサの電圧と容量に左右されます。このエネルギー(E)は、次の式で算出できます。

コンデンサのエネルギー計算式。

各記号の意味:

  • E = エネルギー(単位:ジュール(J))
  • C = 容量(単位:ファラド(F))
  • U = 電圧(単位:ボルト(V))

この式は、産業用DCシステム用にコンデンサ方式のバッファモジュールを設計する上で非常に重要です。蓄積エネルギーを増やすには、コンデンサの静電容量または充電電圧を上げる必要があります。ただし、エネルギーは電圧の2乗に比例するため(電圧が2倍になるとエネルギーは4倍になります)、プルスは製品開発において電圧の最適化を優先し、バッファの性能を最大限に高めています。

停電後のシームレスな移行

エネルギーの蓄積に加え、停電後の移行フェーズも重要です。上流のDC電源は、遅延や電圧の降下なしに動作を再開する必要があります。このため、バッファモジュールを取り入れたシステムを設計する場合は、適切に起動できる電源ユニットの選択が重要なポイントになります。

ブリッジフェーズの可視化

典型的な停電シナリオには、2つの電圧曲線が関係しています。

  • 停電時に低下するAC入力電圧
  • バッファモジュールによって安定するDC出力電圧

電源からのDC出力が22.5Vを下回るとすぐに、バッファモジュールが自動的に作動し、接続された負荷に安定した電圧を供給します。AC電源が復旧すると、シームレスに運転を再開し、重要なDC負荷への電源供給を中断なく継続します。

電圧の変化に敏感な用途向けのカスタムバッファ電圧設定

プルスのUFシリーズのバッファモジュールには、設定した出力電圧よりちょうど1V低い値最小バッファ電圧を指定できるという独自の機能があります。例えば、電源の出力を28Vに設定した場合、バッファモジュールは、標準のしきい値である22.5Vではなく、27Vで作動するようにパラメータを設定できます。

電圧の変化に敏感な負荷厳密な公差要件を持つシステムでは、電圧がわずかに低下しただけでも不安定性やデータ損失を招く可能性があるため、この電圧設定の微調整機能がとりわけ有益です。

標準的な運用では、バッファモジュールは出力電圧が22.5Vに低下した際にのみ作動します。しかし、この設定機能を活用すれば、バッファリングをより早い段階で開始し、重要なコンポーネントに対してさらに安定的で信頼性の高いDC電源を供給できます。

長時間の停電時には、コンデンサ方式のバッファモジュールでシャットダウンを制御

コンデンサ方式のバッファモジュールは、DC電源の停電後に限られたブリッジ時間でシステムを安全にシャットダウンする必要のあるアプリケーションにも最適です。このモジュールを使用すれば、機器を所定の非通電状態に移行するまでの、短いながら極めて重要な時間を確保できるため、データ損失やハードウェア損傷のリスクを最小限に抑えることができます。

この戦略では電圧低下の早期検出が不可欠ですが、これは通常、電源出力のDC-OK信号で検出します。降下が検出されると、バッファモジュールが即座に負荷への給電を引き継ぎ、蓄積されたエネルギーが枯渇するまで安定したDC電圧を維持します。

この制御されたシャットダウン機能により、正常に再起動し、PLCや産業用PC、オートメーションコントローラーといった電圧の変化に敏感なコンポーネントを保護することができます。これは、電源の状態が予測できない産業環境で、安定した運用を維持するための重要な機能です。

注:実際の負荷がバッファモジュールの最大許容出力電流を下回る場合は、その分バッファ時間が延長されます。したがって、シャットダウン戦略の有効性を高めるには、実際の消費電力を考慮した電源を慎重に選択する必要があります。

特定の負荷分野を保護するコンデンサ方式のバッファモジュール

産業用DC電源システムでは、コンデンサ方式のバッファモジュールを戦略的に配置して、その電源の敏感な負荷分野を保護することができます。冗長モジュールを取り入れ、電源の出力側をバッファありブランチとバッファなしブランチに分割することで、負荷の感度に基づいてエネルギー配分を最適化します。

アクチュエーターのように消費電力の大きい負荷は電源に直結し、バッファリングの対象から外します。そうすれば、センサーやPLC、産業用PC、制御ロジックなどの重要なコンポーネント用に、バッファしたエネルギーを確保できます。

このように的を絞ったバッファリングアプローチを取れば、バッファ時間を大幅に延長できます。システムアーキテクチャによっては、秒単位に達することも少なくありません。その結果、データ保持の信頼性向上、シャットダウンシーケンスの制御、電圧の変化に敏感な機器の耐障害性の強化を実現できます。

コンデンサ方式のバッファモジュールをカスケード接続することでバッファ時間を延長し、ピーク電流容量を拡大

プルスのコンデンサ方式のバッファモジュール(UFシリーズ)は、産業用DCシステムにシームレスに統合できるように設計されています。電解コンデンサを搭載したモジュールが電子コンデンサのように機能し、電源の出力または負荷に直接、並列接続することができます。

複数のバッファモジュールをカスケード接続することで、ユーザーは以下を実現できます。

  • 停電時のバッファ時間を延長
  • 電源を大型化せずにピーク電流容量を拡大
  • 動的負荷プロファイルに対応したシステム設計の最適化

このモジュール式アプローチには、次のメリットがあります。

  • 小型で高効率な電源の使用によるコスト削減
  • 短時間の負荷ピーク時の運用信頼性の向上
  • 必要に応じたバッファ容量の拡張による柔軟なスケーラビリティ

モーターやコンベアシステムの再起動時など、入力突入電流が大きくなる場合に、バッファモジュールが電源に追加電流を供給します。これによって過負荷状態を防止し、安定した動作を確保します。

イントラロジスティクス用途での電源システム用バッファモジュール。

実例:イントラロジスティクスシステムにおけるバッファリング

イントラロジスティクスで使用されるコンベアシステムでは、貨物の停止と再スタートが頻繁に繰り返されます。この再スタートは、短時間ながら大きな電流スパイクをもたらします。バッファモジュールを組み込めば、エンジニアは連続運転向けに最適化された小型の電源を選択できると同時に、バッファモジュールで短時間のピーク負荷に対処できます。

結論:適切なバッファ戦略を選択することで、DC電源の信頼性を向上

この記事では、コンデンサ方式のバッファモジュールに焦点を当て、短時間の停電時にDC電源の運用を継続するための役割を考察しました。このモジュールは、高速応答、スケーラブルなエネルギー貯蔵、および電圧の変化に敏感なコンポーネントを特に対象とした保護を実現します。そのため、ミリ秒レベルの瞬停時のブリッジ、動的負荷プロファイルの管理、そして長時間の停電時のシャットダウン制御に適しています。

数分から数時間に及ぶ長時間のブリッジが求められる用途では、バッテリーストレージを備えたDC-UPSシステムが、必要な自律性と柔軟性を実現します。このシステムは、安定した出力電圧を確保して重要なインフラをサポートできるように設計されており、ブラックスタートやインテリジェントバッテリー管理といった高度な機能を備えています。

次回の記事では、DC-UPSソリューションを取り上げ、その技術的な利点、構成オプション、そして無停電電源が不可欠な環境での活用事例を解説します。

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* 出典:Bundesnetzagentur | 2022年のデータ https://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2023/20231107_SAIDI.html

** 出典:米国エネルギー情報局(EIA) | 2022年のデータ https://www.eia.gov/electricity/annual/table.php?t=epa_11_04.html