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電源におけるIP保護等級の意味

保護等級は、電気機器が異物や湿気の侵入に対してどの程度保護されているかを示します。このブログ記事では、どのようなIP保護等級があり、それぞれの違いは何か、および電源を選択する際の注意点について説明します。

ほこりや湿気などの環境の影響により、電源内の電気部品の機能が損なわれる可能性があります。さらに、機器の内部を、工具、ネジ、ワイヤーなどの異物の侵入やユーザーによる接触から保護する必要があります。特に電源を制御キャビネット外で使用する場合は、電源の選択時に保護等級、いわゆるIPコード(International Protection Code)を考慮する必要があります。電源は、保護等級が環境条件に適合している場合にのみ、安全に使用でき、コストのかかる故障を防ぐことができます。

IP保護等級の種類

保護等級は通常、略語のIP(「International Protection」、英語では「Ingress Protection」も一般的)と2つの特性数字(例:IP20、IP54、IP67など)で構成されます。

第一特性数字接触および異物、砂、ほこりの機器への侵入に対する保護の度合いを示します。第二特性数字湿気に対する保護の度合いを示します。

産業用電源では保護等級の決定においてDIN EN 60529が基準となります。道路運送車両についてはISO規格20653:2013もしばしば適用されます。ただし、これはスチームジェットなどの高圧洗浄からも保護する必要がある車両の電気コンポーネントのみを対象とします。

電源との関連では、保護等級が保護クラスと混同されることがあります。保護等級は異物や水の侵入、接触に対する保護に関連しますが、IEC保護クラスはユーザーを感電から保護するために電源の構造と絶縁を規定します。

次の表は、IP保護等級の特性数字の意味の一覧です。

異物
o 保護なし
1 直径 50 mm以上の固形物が入らないように保護(手など)
2 直径 12 mm以上の固形物が入らないように保護(指など)
3 直径 2.5 mm以上の固形物が入らないように保護(工具など)
4 直径 1 mm以上の固形物が入らないように保護(ワイヤーなど)
5 接触からの完全な保護と粉塵からの保護
6 接触からの完全な保護と防塵
o 保護なし
1 鉛直に落下する水滴が入らない
2 筐体が傾斜(15 °以内)しても鉛直に落下する水滴が入らない
3 鉛直から両側に60 °までの角度で噴霧した水によって機器が影響を受けない
4 あらゆる方向からの水の飛沫によって機器が影響を受けない
5 あらゆる方向からの噴流水によっても機器が影響を受けない
6 強力な噴流水によっても機器が影響を受けない
7 一時的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない
8 継続的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない
9 高圧および高温の噴流水によっても機器が影響を受けない

産業用電源で一般的な保護等級

必要とされる保護等級は、設置場所とそれぞれの用途の環境条件によって異なります。顧客に直接供給する電源メーカーは通常、業界標準として確立され、選択されたIP保護等級を備えた製品のみを提供します。以下の表は、産業用電源で最も一般的な保護等級の一覧です。

保護等級 異物 用途
IP20 2 直径12 mm以上の固形物が入らないように保護(指など) 0 保護なし 制御キャビネット内など、保護された環境での使用
IP54 5 接触からの完全な保護と粉塵からの保護 4 あらゆる方向からの水の飛沫によって機器が影響を受けない 制御キャビネット外での分散型使用
IP65 6 接触からの完全な保護と防塵 5 あらゆる方向からの噴流水によっても機器が影響を受けない
IP67 6 接触からの完全な保護と防塵 7 一時的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない

S特殊な用途で接触保護と湿気保護の追加の組み合わせが必要な場合は、顧客別の電源ソリューションを提供可能です。

IPX4やIP6Xの意味

電子機器では、異物または水の2つの特性数字のうちの1つに関してのみテストされることがよくあります。

「X」は、製品が当該の特性数字に適したテストを受けていないことを示します。したがって、これは、保護等級表の任意の値に単純に置き換えられる変数を意味するものではありません。

IP6Xの電源は接触に対する完全な保護を提供し、防塵性を備えていますが、水の浸入についてはテストされていません。同様に、IPX4の電源は飛沫水からの保護に関して必要なテストは受けましたが、異物の侵入に関してはテストされていません。

プルスの電源で提供される保護等級

プルスは上述の保護等級を備えたさまざまな電源を提供しています。製品は2つのカテゴリーに分類されます。

保護等級 用途 製品ファミリー
IP20 制御キャビネット内など、保護された環境での使用 DIMENSION

PIANO

MiniLine

IP54 制御キャビネット外での分散型使用 FIEPOS
IP65
IP67

{{widget type=”MagefanBlogBlockWidgetPostLink” anchor_text=”分散化対策” title=”このブログ記事では、電源の分散化について学べます。” entity_id=”9″}}が進む中、今日では産業用電源において保護等級が以前にも増して重要な役割を果たしています。DC電源は、保護を提供する制御キャビネット外で、機械に直接設置される機会が増えています。作業員の安全と電源の機能を保証するには、すべてのシステムコンポーネント(PLC、HMI、センサーなど)について一律に保護等級IP54以上が必要です。

プルスはこうした用途向けに、いわゆるフィールド電源、{{widget type=”MagentoCatalogBlockCategoryWidgetLink” anchor_text=”FIEPOSファミリー” title=”FIEPOSソリューションの詳細。” template=”category/widget/link/link_inline.phtml” id_path=”category/38″}}を開発しました。

高度な保護等級IP54、IP65、またはIP67を備えた分散型FIEPOSスイッチモード電源は、現場で直接柔軟に使用できるように開発されました。高度な保護等級IP54、IP65、またはIP67を備えた分散型FIEPOSスイッチモード電源は、現場で直接柔軟に使用できるように開発されました。
図 1:高度な保護等級IP54、IP65、またはIP67を備えた分散型FIEPOSスイッチモード電源は、現場で直接柔軟に使用できるように開発されました。

まとめ

保護等級は、機器が異物や湿気の侵入に対してどの程度保護されているかを示します。ほとんどのIPコードは2つの特性数字で構成されています。第一特性数字は接触や異物に対する保護を表し、第二特性数字は水や湿気に対する保護の情報を提供します。数字が大きいほど、保護力が高くなります。制御キャビネット内で使用される産業用電源については、保護等級IP20が一般的です。保護された環境外で稼働させる場合には、IP54やIP67など、より高度な保護等級を選択する必要があります。

電源データを活用した逆潮流の分析

逆潮流という物理作用は、電気自動車を始めとするさまざまな用途でのエネルギー回収に非常に適しています。しかし、産業用途では、電源装置に不具合が発生した場合、コストのかかるダウンタイムの原因となることもあります。このブログ記事では、電源データによって逆潮流の発生を特定し、有効な対策を講じる方法をご紹介します。

電源において、逆潮流への抵抗が重要な理由

ドラムモーターなどの回転機械部品は、制動時に電源出力に電圧をフィードバックする運動エネルギーを蓄積します。出力側では、電源は、出力キャパシタでこのエネルギーの一定量を吸収しますが、同時に、出力電圧もこれに応じて上昇します

逆潮流発生時に起こる抵抗は、電源の出力で許容される最大電圧を示し、この数値を超えると、電源がオフになり、システムや機器類がシャットダウンします。

しかし、プラントのオペレーターでさえ、実際の運転環境下での逆潮流の数値を把握していないことが多く、逆潮流の発生頻度最大値などの具体的データに乏しいのが現状です。.

詳細な実負荷プロファイルは、計画段階で適切な電源を選択する際や、運転段階で不具合を分析する際に役立ちます。では、どうすれば分析に必要な情報を入手できるのでしょうか?

データソースとしての電源

電源メーカーのプルスが開発した分散型電源 FIEPOSファミリー  には、パフォーマンス分析機能が搭載されており、センサーのように機能して、使用中のさまざまなパラメータ(電圧、電流、温度など)を記録し、こうした情報をリアルタイムで提供することができます。

プルスの分散型フィールド電源FIEPOSには、このようなデータを送受信するためのIO-Linkインターフェイスが搭載されており、信頼性の高いデータソースとして、既存の状態監視システムを補完する機能を備えています。上述のデータが付加価値をもたらした実例をご紹介します。

電源によるパフォーマンス分析

あるイントラロジスティクスソリューションメーカーが、24V電源から分散型ソリューションへの移行を検討していました。当時は使用していた電源によってシステムシャットダウンが頻繁に発生していましたが、原因を突き止めることはできていませんでした。

プルスは、同社に複数のソリューションを提案し、FPT300電源(三相360W)のサンプルを提供し、プルスのアプリケーションスペシャリストの支援により、同社は電源起動後の初期データを分析し、

3種類のケースを検証しました。:

  1. ケース1:駆動モーターのみの並列運転
  2. ケース2:駆動モーターとブレーキモーターの並列運転
  3. ケース3:緊急停止時など深刻な事態によって、すべてのモーターが同時に急停止

上記の3つのケースにおいて、特定期間に出力される電圧と電流を測定・分析しました。

通常運転時の負荷プロファイルの分析

図1:通常運転時の負荷プロファイル

ケース1の駆動モーターの並列運転では、特に問題は発生しませんでしたが(図1参照)、通常運転時のプラントの最初の負荷プロファイルを検証し、電源の適切なサイズを特定することができました。

駆動モーターとブレーキモーターの並列運転時の負荷プロファイルの分析

図2:駆動モーターとブレーキモーターの並列運転時の負荷プロファイル

ケース2の駆動モーターとブレーキモーターの並列運転では、ほとんどすべての場合、逆潮流によって生じるブレーキモーターからのエネルギーは、駆動モーターに直接吸収されました。1度だけ、出力電圧がわずかに上昇し、負の電流スパイクが短時間発生しましたが、電源に問題は生じませんでした(図2の赤い部分を参照)。

緊急停止時の負荷プロファイルの分析

図3:緊急停止時の負荷プロファイル

ケース3では、すべてのドラムモーターが同時に停止し、電流が急低下し、電圧が31Vまで上昇するという深刻な事態が発生しました(図3参照)。

データの分析結果から、これが当初から指摘されていたシステムシャットダウンの原因であることが明らかになりました。これまで使用していた電源の出力キャパシタの容量が不十分であったために、電源が頻繁にシャットダウンしていたのです。

FIEPOS電源は、非常に高い電気的堅牢性を備えています。FPT300の場合、逆潮流時の最大許容出力電圧は、35V/4.3J、出力容量は18,000µFです。

FPT300を使用した場合、電圧が31Vまで上昇しても、電源に問題は発生せず、電圧が再び低下すると、電源は自動的に通常モードで作動続けることができました。ただし、多くのメーカーのモーターコントロールセンターは、電圧が32V近くになると自己保護のためにシャットダウンする仕組みになっていることに留意する必要があります。

購入決定前に、プルスの技術スペシャリストによる分析・精査を実施したことで、お客様は、信頼性と将来性の高い最適なソリューションを選択できたのです。

イントラロジスティクスのための分散型ソリューション

保護等級IP20準拠の製品や、キャビネット内に設置しないIP54/IP65/IP67準拠の分散型電源の製品のポートフォリオも充実しています。プラント計画をより柔軟に立てられ、システム内のスペースを有効活用できるため、システム開発者は時間やコストを節約できます。

FIEPOS製品ファミリー  は、単相および三相、360Wまたは600Wのフィールド電源をベースとしています。また、システムの大半が、5秒間200%で機能するため、高電流負荷の始動に最適で、高価な大型電源装置も不要です。今後数カ月の間に、FIEPOSのポートフォリオに、新しいクラスの製品が加わる予定です。

FIEPOSは、M12-L/-T/-A、7/8”、Han Qシリーズなど 、多様なコネクタに対応しています。FIEPOS eFusedシリーズは、最大4系統までの電流制御出力を備えています。このシステムによって、現場で最適な配電、保護、監視が可能です。

まとめ

イントラロジスティクスシステムにおける エンド・ツー・エンドの分散化 には、信頼性と汎用性の高い電源が不可欠です。

しかし、これを実現するためには、電源メーカーが適切なソリューションを提供できるように、イントラロジスティクスの現場の実践的データをできる限り多く収集しなければなりません。実際の用途でのデータの収集・検証が重要です。

プルスは、電源データによるパフォーマンス分析のイノベーターとして、主導的な役割を果たしています。アプリケーションエンジニアのグローバルチームが、お客様やユーザーの技術的課題を解決するための助言を提供します。チームメンバーは、各種用途の複雑な状況に関する質問にも適切に答え、最適なソリューションを提供いたします。

このようなデータから得た知見は、今後の分散型電源ソリューションの開発にも不可欠です。

 

MTBF(平均故障間隔)から分かること

MTBFはデバイスやシステムコンポーネントの信頼性を示す指標です。このブログ記事では、MTBFの正確な意味、MTBFが電源の重要な品質指標である理由、そしてMTBFと耐用年数の違いを取り上げます。

MTBFという用語は各種機器のデータシートによく登場しますが、混乱を招くことが少なくありません。MTBFはさまざまな算出方法があり、また耐用年数と混同されやすいことが、その主な原因です。プルスの研究開発部門では、多くの専門家がMTBFと耐用年数の改善に取り組んでいます。この知識をもとに、本ブログ記事で詳しくご説明します。

MTBFとは何か

MTBFは、「Mean Time Between Failures(平均故障間隔)」の略語です。MTBFの値は電子機器や部品、システムの信頼性を測るための指標と見なされています。

ユーザーにとっては、故障から次の故障までの統計的な平均間隔と言えます。もちろん、メーカーは故障数をできるだけ低減するように努めていますが、機器というものはどうしても一定の確率で故障するものです。そこで、機器を保守する上では、MTBFという指標を理解しておくことが特に重要になります。

MTBFの算出方法

MTBFは故障率λ(ラムダ)の逆数です。故障率λとは、一定数の機器を一定期間稼働させた場合に、統計的に予想される故障数を指しています。単位時間当たりの故障数で表すため、λは非常に小さな数値になります。

一方、時間数で表すMTBFのほうが実務で使いやすいため、信頼性を示す一般的な指標として普及しています。

故障率とMTBFの関係を、計算式の例で説明しましょう。

ある工場で同一の機器1,000台を2,000時間稼働させると、稼働時間は合計200万時間となります。この間に4台の機器が故障した場合、故障率λは次のように算出されます。

故障率λを算出する。

故障率の逆数であるMTBFは、次の式で算出します。

MTBFは故障率λ(ラムダ)の逆数です。

なお、故障率もMTBFも故障に関する統計的指標であるため、稼働の開始時から算出の対象になります。

MTBFを可視化する方法

MTBFを可視化した有名なグラフが、いわゆるバスタブ曲線(図1)です。

MTBFでは、初期故障期(フェーズA)について考慮されていません。初期不良は、通常、顧客への納入前にメーカーの社内品質検査において検出するものです。

偶発故障期(フェーズB)では、機器の温度が高いほど故障に至るプロセスが加速します。機器が高温になり、熱ストレスにさらされると故障率が高まるのです。そのため、システム開発者や保守の専門家は、故障率をできるだけ低減させるため、使用環境や機器の温度を下げる努力を重ねています。

なお、摩耗故障期(フェーズC)はMTBFに含まれません。耐用年数に相当するフェーズ(経年劣化による故障が発生しない期間)のみを対象とするからです。

バスタブ曲線はMTBFを可視化したグラフ

図1:バスタブ曲線はMTBFを可視化したグラフ

故障率λの具体的な算出方法

故障率λは、さまざまな方法で算出することができます。使用する算出方法によって、それぞれ結果が異なります。そのため、製品のデータシートに記載されている故障率やMTBFの値を確認する際は、仕様や前提となる稼働条件を必ず参照してください。

DINレール電源 の例で、2パターンの計算方法を見てみましょう。

「部品点数法」では、λを非常に簡単に算出できます。電源ユニット全体の故障率は、「電源ユニットの部品数」に「平均故障率」を掛けて算出します。ただし、この方法では正確な数値は得られません。

これよりはるかに複雑な方法になりますが、部品毎に故障率を算出することもできます。この方法では、各部品の電力負荷を計算し、熱ストレスを測定して求めます。その値をもとに、ソフトウェアで部品毎の故障率を算出します。プルスでは、主にこの手順を採用しています。

故障率の計算には、さまざまな規格を適用できます。MIL-HDBK-217F(信頼性の予測方法を定めた米軍のハンドブック)は世界中で広く採用されています。しかし、この軍用規格に基づいて算出した故障率はやや旧式と見なされています。IEC 61709に準じたシーメンスのSN 29500規格で定められた計算方法で算出した値のほうが実用的です。

各部品の故障率を合算すれば、電源ユニットの総故障率λが求められます。総故障率λが得られたら、前述した方法で電源ユニットのMTBFを算出できます。

豆知識

MTBF値には、前提となる規格や稼働条件が必ず明記されていなければなりません。特に、負荷条件と稼働環境の周囲温度が重要な要素となります。各メーカー製品を比較する場合は、必ずこうした値を確認し、必要に応じてメーカーに問い合わせてください。

プルスの製品データシートでは、MTBFに関するあらゆる情報を提供しています。

MTBFと耐用年数の違い

データシートに記載された耐用年数は、稼働中の故障に関する統計的な数値ではありません。耐用年数とは、機器が摩耗によって使用できなくなるまでの期間を指しています。

電源ユニットでは、特に電解コンデンサに注意を払う必要があります。電解コンデンサは経年劣化によって電解液が蒸散し、静電容量が低下するため、機器の耐用年数を左右するものとなります。

そこで、電解コンデンサのメーカーは製品データシートに製品寿命を明記しています。この点で、静電容量や内部抵抗などの重要な指標が初期値からある程度逸脱します。

電解コンデンサは 高温 に弱い部品でもあります。温度が10度上昇するごとに、電解コンデンサの耐用年数が2分の1になるため、電源ユニット全体の耐用年数に直接的な影響を与えます。

電源のMTBFと耐用年数が重要な理由

産業用電源は稼働開始時点から信頼性を確保し、長年にわたって確実に給電する必要があります。従って、MTBFと耐用年数はどちらも、電源ユニットの重要な品質指標であり、高水準でなければなりません。

プルスでは、電源の信頼性と耐用年数を特に重視してきました。MTBF値と耐用年数を機器データシートに詳しく記載し、さまざまな稼働条件も明記しています。

このような信頼性の高い指標は、多数のコンポーネントによる複雑なシステムを計画・実現する上で非常に有用な情報となります。

また、信頼性や耐久性に優れた電源は 地球環境 にも優しい製品です。電源ユニットの交換頻度が減るため、資源の保全や電子廃棄物の削減につながります。

電源効率を正確に測定する方法

メーカーのデータシートには、電源電圧や負荷といった条件の違いを考慮した電源効率や電力損失の情報が掲載されていないことが多いため、ユーザー自身で電源効率を測定することが推奨されます。本記事では、電源効率測定における注意点をご紹介します。

マルチメーター、ワットメーター、パワーアナライザの中で、電源効率の測定に最適なツールは?

効率を測定する機器は数多くありますが、さまざまな信号(ACまたはDC)の測定における測定公差や機能は大きく異なります。

マルチメーター:

高精度なマルチメーターは、純粋にDCの入出力の電圧と電流の測定に適しており、電源の入力側と出力側で直接、高い精度で電圧を測定できます。電流測定機能を内蔵しているマルチメーターも多く見られますが、精度が低い(誤差1%以上)か、測定範囲が不十分(10A程度まで)なため、公差0.01%の高精度なシャント抵抗器による電流測定が求められます。ただし、変動する条件下では、数値の非同期検出はエラーにつながる可能性があります。

ワットメーター:

AC信号の測定に使用されるワットメーターによって、正しい原理に基づいて、電流と電圧の瞬時値の積から平均値を算出し、性能を物理的に定義できます。ただし、簡易ワットメーターの多くは、測定誤差率が高く(約1%)、また、入力や出力の電流(AC入力、各種出力負荷)が頻繁に変化する場合には、さらに多くの誤差が生じるため、変動する数値の正確な解釈が難しくなります。効率を正確に測定するためには高精度なワットメーターの使用が推奨されます。

データロガー:

データロガーはDC測定に適したツールです。データロガーの多くは、高精度なメーター1台で構成されており、マルチプレックスによって複数測定に対応しています。同じ測定範囲であれば、誤差を相殺し、すべての数値を瞬時に記録できるため、測定結果をスプレッドシートでスムーズに検証できます。

パワーアナライザ:

プルスでは、パワーアナライザを使用して電源効率を測定しています。(画像1参照)0.02%という高い基本精度を備えたパワーアナライザは、有効電力の正しい測定、入出力の同時・同期測定、電力損失や効率の直接表示が可能です。デメリットとして、価格が高い点が挙げられますが、効率の正確な測定・評価に最適なツールです。

画像1:プルスのスイッチモード電源の効率測定に使用される最先端のパワーアナライザ

キーポイント:

AC入力電力は、マルチメーターやデータロガーでは測定できません。電流と電圧の真の実効値を測定して、この2つの値を掛け合わせると入力電力が得られると思いがちですが、この計算方法で得られるのは皮相電力であり、電力損失に大きな影響を与える実電力ではありません。真の実効値マルチメーターを使用しても、正確なAC入力電力の値を得られないことに注意してください。

測定セットアップのミスを回避する方法

高精度で高価なパワーアナライザを使用しても、測定セットアップが適切でなければ、正確な結果を得られない可能性があります。

正しい配線:

被測定デバイスに起因しない電力損失は、測定には一切含めてはなりません。これは、測定セットアップ時の正しい配線のための大原則です。ケーブルや接触抵抗は、測定結果に誤差をもたらす可能性のある電力損失を引き起こします。適切な4端子測定(ケルビン測定)には、電流と電圧の測定に別々のケーブルを使用する必要があります。(画像2参照)

電圧源:

DC入力電圧のスイッチモード電源には、シンプルなDC電圧供給で十分です。電圧源の内部抵抗が、電源の正弦波の曲線形状を通じてAC測定に与える影響を確認しておくことが重要です。PFC非搭載の240W電源では、絶縁型電圧調整器からのソフト電力と電子式AC電源からのハード電力の間に0.4%の差が測定されました。これによって最も再現性の高い値を得られます。

電源の正しい配線が不可欠です。

画像2:正しい配線が不可欠。電流と電圧の測定には、別々のケーブルを使用した適切な4端子測定(ケルビン測定)が必要です。

EMC干渉:

試作段階のシールドされていない電源は、メーターに干渉したり、負荷を変動させたりする可能性があります。メーターからのHF干渉がある信号は受け入れてはなりません。入力ラインにインダクタ主体のフィルタを追加することによって、これを回避できます。また、電力損失が測定に影響しないようにする必要があります。電波干渉を抑制するクリーンな電源であれば問題ありません。

負荷:

電源に加えて、使用する負荷にも安定性と再現性が求められます。電力抵抗器の負荷は、定電流を流さないため問題となりますが、電子負荷は、被測定デバイスの再現性のある定義された負荷であり、遷移抵抗が変動しても電流は変化しません。

環境条件に関する注意点

環境条件に関して、電源からの電力損失は温度に依存するため、温度に注意する必要があります。極めて重要な要素である電源のコンポーネントの温度は、周囲温度と自己発熱の合計となります。

温度:

温度が及ぼす影響は、電源のコンポーネントによって異なります。重要なコンポーネントの中には、温度の上昇によって電力損失が減少するものもあれば、増加するものもあります。入力突入電流を制限するために使用するNTCが大きな影響を与えます。このようなコンポーネントを使用した電源は、起動時や周囲温度が高い場合には電力損失が少なくなりますが(負の温度係数)、温度が高くなると、電力損失が他のコンポーネントよりも再び多くなります。(グラフ2参照)

有効な入力突入電流リミッタを搭載したデバイスの温度は安定しており、温度による電力損失はほとんど増加しません。すべての効率測定において、結果を追跡できるように、起動時間と周囲温度を記録する必要があります。

グラフ2:NTCによって、効率は時間や温度に大きく左右される。

グラフ3:NTC非搭載の有効な入力突入電流リミッタは、時間や温度に左右されない効率を実現する。

高度と気圧:

対流冷却式電源の自己発熱には、気圧が影響します。プルスでは、標高の高い場所 で使用した場合にコンポーネントから発生する熱による温度変化を算出しました(海抜2,000mで約+10°C 、海抜4,000mで約+20°C)。湿度から影響を受けることはほとんどないため、考慮する必要はありません。

サンプル分布:

コンポーネントごとに公差があるため、すべてのデバイスが同じではありませんが、プルスでは、真のエラーを特定するために、(ラボでの測定ほど正確ではないものの)製造中のデバイスの電力損失も厳密に測定しています。200台の CP10 電源の製造バッチにおいて、平均効率95.27%、偏差±0.15%という測定結果を得ました。(グラフ4参照)

電源効率とその影響に関する詳細はこちら。(リンク)

グラフ4:プルスでは200台のCP10電源の製造バッチにおいて、平均効率95.27%、偏差±0.15%を達成。

結論

スイッチモード電源の効率を正確に測定するのは容易ではありませんが、メーカーのデータシートの情報に頼るだけではなく、必要に応じて、自分で測定することが推奨されます。プルスは、長年にわたり、自社製品の正確な効率測定に取り組んでおり、お客様のあらゆる課題に対応しています。また、経験豊富なアプリケーションエンジニアチームを擁して、アプリケーションにおけるサポートを提供しています。

温度がDINレール電源の寿命に及ぼす影響

システムエンジニアにとって、信頼性が高く、長く使用できる電源を確保することは非常に重要です。故障しやすい電源の使用は、労力、費用、時間といったコストの増加につながります。

寿命と信頼性に重大な悪影響を及ぼす「熱(高温)」:

電源の最低耐用年数は、電解コンデンサの耐用年数に左右されます。温度が高いほど電解コンデンサは乾燥が進みますが、温度が10℃上昇するだけで、電解コンデンサの耐用年数は半減します。DINレール電源の耐用年数を最大化するには、過熱からデバイスを保護する必要があり、電源装置の冷却システムが重要な役割を果たします。発熱ゼロの電源装置が理想的ですが、現実問題として、電力損失による熱の発生は避けられません。

 

図1:クールデザイン=高効率性+最適な方法による放熱+温度に敏感なコンポーネントの適切な配置

電源の長寿命化を実現するプルスのクールデザイン

電源を長く使用するためには、装置内の発熱を最小限に抑える必要があります。プルスの電源は、1)常に高い効率性を維持する、2)装置周囲への熱損失を最適な方法で放散する、3)温度に敏感なコンポーネントをデバイス内に適切に配置するという「クールデザイン」の3要素の相乗効果によって発熱を最小限に抑えます。

高効率な電源は低発熱

電源の低発熱化には、高効率化が不可欠です。

効率値は、電源の入力電力に対する出力電力の比率を示すもので、その差は、損失として熱に変換されます。電源効率が高いほど、エネルギー損失、つまり発熱量が少なくなり、必要な冷却量も少なくなります。その結果、電解コンデンサは、メーカーが定める耐用年数を満たすことができ、ユニット全体の信頼性も向上します(図2参照)。

高い電源効率によって、熱として損失するエネルギー量を削減し、電源装置の長寿命化、省スペース化、信頼性向上を実現。

図2:高い電源効率によって、熱として損失するエネルギー量を削減し、電源装置の長寿命化、省スペース化、信頼性向上を実現。

全負荷効率が高ければ、省スペース設計が可能になります。電源装置の発熱が少ないため、場合によってはヒートシンクが不要になります(図2参照)。一方で、実際には部分負荷効率の重要性も高まっています。通常、電源は常に全負荷で運転されることはないため、制御キャビネットの熱設計において、典型的な負荷の損失を考慮する必要があります(図3のCP20.241の例参照)。

無負荷運転時の損失も考慮する必要があり、「スタンバイモード」でも制御キャビネットに熱ストレスを与えない低い損失レベルが求められます。

原理:電源効率が高いほど、熱による電力損失が少なくなります。

全負荷時だけでなく、広い負荷範囲で高効率を実現(CP20.241の例)

図3:全負荷時だけでなく、広い負荷範囲で高効率を実現(CP20.241の例)

長寿命化には熱放散の最適化が不可欠

熱は、コンポーネントの耐用年数に大きな影響を及ぼします。高効率に加えて、優れた冷却システムも長寿命化に不可欠です。

高効率の電源でも、微量のエネルギーが常に失われています。プルスの電源装置は最大95.6%という極めて高い効率性を備えていますが、残りの4.4%の入力電力は損失します。電力損失による熱発生は避けられないため、熱を周囲に直接放散する必要があります。ハウジングの外表面と、装置を通過する対流空気流がその役割を果たします。この対流空気流は、遮断されることなくコンポーネント間を流れなければなりません。

しかし、これを実現するのは容易ではありません。電源の複雑化と小型化が進んでおり、装置内部のスペースは限られています。デバイス内のコンポーネントとして、冷却ダクトを設置することが非常に重要です。また、デバイス内に熱がこもらないように、熱源を短く、直接接続することも選択肢の1つです。スマートな冷却システムによって、多くの場合、内部のヒートシンクが不要になり、結果として軽量化につながり、電源のコストも大幅に削減することが可能になります。

コンポーネントの適切な配置の重要性

電源装置の長寿命化には、温度に敏感なコンポーネントを適切に配置することが重要です。

回路設計者は、電気的要件に応じてコンポーネントを配置する傾向があり、熱設計に関しては妥協するケースも少なくありません。電源装置の耐用年数を最大化するためには、寿命を左右するコンポーネントを低温の場所に配置する必要があります。温度に敏感なコンポーネントとして、電解コンデンサ、バリスタ、オプトカプラが挙げられますが、特に電解コンデンサは、ユニット内の涼しい位置に配置できます。

電源装置のサ—モグラフィ画像

図4:サ—モグラフィ画像

電源装置のサ—モグラフィ画像

図5:サ—モグラフィ画像

実証試験:サーモグラフィカメラで映し出した電源装置

サ—モグラフィでDINレール電源を映し出すと、コンポーネントの適切な配置が、装置内部の温度上昇の抑制につながっている様子が確認できます。特に対流冷却式スイッチモード電源では、サーモグラフィによる検証によって有益な情報が得られます。

高性能サーモグラフィカメラを使用した実証試験では、装置内の高温スポット、特定箇所の熱発生、最も高温になるコンポーネントの位置を確認できます。「クールデザイン」により、負荷時でも過熱することなく、電源装置の機能は最大限に発揮されます

温風は、対流冷却によって気流に乗って外部に導かれます。気流が効果的に機能していることは、サ—モグラフィで検証可能です。

PULS CP10のサ—モグラフィ画像から、電解コンデンサ(画像内の1、2、3、4、5番)などの温度に敏感なコンポーネントが最適な位置に配置され、低温を維持していることが確認できます(図4、5参照)。

電源効率と温度についての豆知識

電源の発熱を抑制することで、制御キャビネット内のすべてのコンポーネントが保護されます。

電力損失の低減は、電源だけではなく、制御キャビネット内のすべてのコンポーネントの長寿命化につながります。通常、電源装置は、制御キャビネット内の「高温スポット」となるため、最大許容温度は重要です。制御キャビネットの温度が45℃であっても、電源装置のすぐ近くではそれより高い温度が発生する可能性があります。

ここで、一例をご紹介します。

テストにおいて、DIMENSION CP10.241(効率95.2%)を箱(3.15L)に格納し、定格電力の80%の負荷をかけたところ、4時間後に、箱内の温度が約19℃上昇しました。もし、DIMENSION CP10.241の電源効率より6.7%低い88.5%の効率の電源装置を使用した場合は、制御キャビネット内の温度は35.3℃となり、「+10℃で寿命半減」の原則に照らし合わせると、16.3℃の温度上昇によって電解コンデンサの寿命半減以上となります。

 

DC-UPSモジュールはバッテリー式か、キャパシタ式か

業界によっては、無停電電源装置が不可欠な場合があります。例えば、停電によって製造工程がストップすると、多大な損失が生じます。データの損失やシステムの破損を招くリスクもあります。DC-UPSモジュールは、このようなリスクを防止するために、停電や負荷変動から復旧するまでの間、バッテリーやスーパーキャパシタでバッファリングします。ただし、用途に応じた UPSのタイプを選ぶには、様々な要素を考慮する必要があります。

プルスは現在、緊急時に負荷への電力供給を継続するために、スーパーキャパシタと鉛酸バッテリの 2方式を採用しています。どちらも、産業プラント用の DC-UPSシステムで蓄電の役割を果たしています。

スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)は、ウルトラキャップ、スーパーキャップ、グリーンキャップなどの別名でも知られ、25年以上前から市場に出回っている信頼性と実績を兼ね備えたコンポーネントです。当初は非常に高価なコンポーネントだったものの、DC-UPSユニット用の蓄電デバイスに適しており、制動エネルギーの蓄積やピーク電流の短時間供給といった用途に利用できます。

スーパーキャパシタは鉛蓄バッテリーの強力な競合製品になっていますが、どちらの UPSにも用途に応じたメリットがあります。以下、比較しながら説明します。

エネルギー密度の比較では、バッテリーが常に優勢

キャパシタ式とバッテリー式のホールドアップ時間を比較しても意味がありません。エネルギー密度を比較すると、常にバッテリーが勝ります。しかし、実際に必要なホールドアップ時間を考慮することも重要です。キャパシタを搭載した UPSモジュールのバッファ時間は秒単位であるのに対し(図 1参照)、バッテリーを搭載した UPSモジュールは最長で数時間の無停電給電が可能です(図 2参照)。

実際に必要なホールドアップ時間が 15~150秒であれば、スーパーキャパシタの方が価格面で有利です。

図1:キャパシタのバッファ電流に応じたホールドアップ時間

図1:キャパシタのバッファ電流に応じたホールドアップ時間

図2:バッテリーのバッファ電流に応じたホールドアップ時間

図2:バッテリーのバッファ電流に応じたホールドアップ時間

寿命と耐熱性に関する根本的な違い

寿命

鉛蓄バッテリーは、周囲温度 20°Cの理想的な環境下では長寿命ではあるものの、限界はあります。EUROBAT(欧州自動車用・産業用電池製造者連盟)によれば、鉛蓄バッテリーの寿命は 6~9年です。鉛蓄バッテリーの寿命に影響を与える要因はいくつかあります。保管中の早期劣化も考慮しなければなりません。しかし、鉛蓄バッテリーの寿命を縮める最大の要因は温度です。例えば、10°C上昇すると、所定の寿命値の半分になります(図 3参照)。

キャパシタはデバイスに内蔵されており、交換できないため、適切に設計されていれば電源装置本体の耐用年数と同じ寿命になります。一般的な用途における電源装置の耐用年数は 10年以上ですから、スーパーキャパシタは概してメンテナンスフリーです。スーパーキャパシタの蓄電時間はほぼ無制限であり、定期的に充電する必要はありません。また、システムの稼働が予想より遅れたり、長期間使用しなかったりしても、予期せぬ事態につながる心配もありません。

バッテリーと同様に、キャパシタの寿命も温度の影響を受けます。10°C上昇すると、キャパシタの寿命は半減します(図4参照)。これは、気温が高いほど電解コンデンサの乾燥が進むためです。

 

温度

バッテリーには、極端な低温や高温に弱いという特徴があります。充電中、-10 °C以下になると水素が凍結し、バッテリーに悪影響を及ぼします。このような寒冷地での用途には、代わりに純鉛バッテリーを使用することができます。鉛バッテリーは+45 °C以上の温度では水素が漏れるため、制御キャビネットの外側に設置しましょう。

スーパーキャパシタは低温に強く、-40 °Cまで対応できます。そのため、屋外や移動先、太陽光発電や風力発電での用途に最適なコンポーネントです。+60 °Cまでフル性能を発揮するスーパーキャパシタは、換気されない密閉型の制御キャビネット内での使用にも適しています。キャパシタは鉛蓄バッテリーのように水素が漏れないため、EN 50272-2で鉛蓄バッテリーに要求されているスイッチキャビネットの換気も不要です。

図3:温度に応じたバッテリーの寿命

図3:温度に応じたバッテリーの寿命

図4:温度に応じたキャパシタの寿命

図4:温度に応じたキャパシタの寿命

バッテリーやキャパシタの電力量の計算方法

バッテリーの公称容量は Ah(アンペア時)で表します。電圧と合わせて、おおよその電力量を知ることができます。

電力量(Wh)=電圧(V)× 容量(Ah)

複数の測定単位(kW、kJ)に関する注意事項:

キャパシタの電圧は、放電中に連続的に減少します。バッテリーのように Ah(アンペア時)で電力量を示しても意味がないため、電力量は Wh(ワット時)やkWs(キロワット秒)で示します。また、kJ(キロジュール)の表示もよく見受けられます。1 kJはちょうど 1 kWsに相当します。1 kWsは 1 kWの電力を 1秒間、100 Wを 10秒間使用できることを意味します。キャパシタの電力量は、次の式で算出します。

電力量(Ws)= ½ CU2

これは、キャパシタが完全にゼロボルトまで放電された場合の電力量を表しています。しかし、実際にはコンバータはゼロボルトまで放電できないので、電力を完全に使い切ることはできません。この点には注意が必要です。バッファモジュールは、使用可能な電力ではなく定格電力で分類されています。ホールドアップ時間を決定する際には、上記のように単純な方法ではなく、必ずデータシートの数値や図表を参照してください。

まとめ

バッテリー式(VRLA)

ホールドアップ時間
分~時間

温度範囲
0 °C ~ +40 °C

平均耐用年数(40 °C)
バッテリー交換から2年

最長蓄電時間
6~9カ月ごとに充電が必要(温度によって異なる)

換気された制御キャビネット
必要

重量
重い

保管・配送条件
負荷状態

キャパシタ式
(スーパーキャパシタ)

ホールドアップ時間
10~150秒

温度範囲
-40 °C ~ +60 °C

平均耐用年数(40 °C)
10年未満

最長蓄電時間
ほぼ無制限

換気された制御キャビネット
不要

重量
軽い

保管・配送条件
無負荷状態(電力なし)

DC-UPSモジュールのプロダクトマネージャーを務めるマクシミリアン・ケーラーは、

自社の状況と選択可能なデバイスを詳しく分析するようアドバイスしています。

「システムを運用する上で、信頼性と可用性は重要な要素です。UPSモジュールを選択する際には、用途に応じた無停電給電を実現するために、様々な要素を考慮する必要があります。プルスは、特に無停電電源装置の分野で包括的なポートフォリオを備えており、お客様のニーズに応じて、最適なソリューションを提案いたします」。

用途に応じた UPSのタイプ

どの UPSシステムがどの用途に適しているかという質問に対する答えは一つではありません。用途はそれぞれに異なるため、個別の分析が必要です。これが、無停電給電を確実に実現する唯一の方法です。なお,自社のシステムに最適なバックアップ電源を見極める上で役立つ質問もあります。

  1. どの程度の出力電圧が必要ですか?
  2. バックアップ電力はどの程度必要ですか?
  3. バックアップ時間はどの程度必要ですか?
  4. 最後に、この用途でバックアップ電源を必要としない負荷はありますか?ある場合は、その数量も教えてください。

この情報を基に、バックアップ電源に必要な出力電力、バックアップ方法、必要な補助機器などを提案できます。

バッテリーを搭載した UPSモジュールは、緊急時のバッファ時間が長い用途に適しています。
プルスの UBバッテリーを搭載したUPSモジュールは、保守要員が到着するまでの長い待ち時間に備えておくべきシステムによく使用されます。例としては、ラジオ塔の信号灯や風力タービンなどがあります。

キャパシタを搭載した UPSモジュールは、バッファ時間の短い用途に適しています。
送電網が整備されていない地域では、プルスの UFキャパシタが個々の半波長の不具合に対応します。なお、通常は3 Aで動作し、ときには 12 Aで短時間動作するような機器に給電するために使用することも可能です。

停電が発生した場合、プルスの UCキャパシタは、システムのスイッチオフとシャットダウンを安全に行い、データもバックアップします。さらに、機械のアームや軸を安全な位置に移動させることもできます。

プルスのおすすめ

プルスは、ストレージサイズの異なる 2つのバッファモジュール(6 kWの UC10.241と 12 kWの UC10.242 を提供しています。

これらのユニットは 24 Vシステム用に設計されており、通常モードおよびバッファモードで最大 15 Aまで負荷をかけることができます。どちらのユニットも、制御電子回路を組み込んだキャパシタストレージを、DINレールに装着できるコンパクトなハウジングに内蔵しています。個々のキャパシタの直列接続にはアクティブな「バランサー回路」が搭載されており、長寿命という利点があります。各ユニットは監視・診断用の信号コンタクトと表示部を備えています。バッファリングが不要な場合は、入力抑止によって禁止することができます。

バッテリー式 DC-UPSモジュールの用途向けには、異なるデバイスを使用した2つの製品をご用意しています。

UB20.241 バッテリーを搭載した UZK24.121  は、バッファリングの際に出力電圧をバッファ電圧の設定値に安定させることができます。バッテリー電圧に関係なく、22.5 V~26 Vの値を設定することができます。一方、 UB40.241 バッテリーを搭載した UZK24.262 は、わずかな電圧低下分を差し引いて、出力側にバッテリー電圧を直接渡します。

高効率の電源が CO2 削減に貢献する理由

エネルギー効率の向上は、気候変動対策において非常に重要な要素です。このブログ記事では、高効率な電源がCO2 排出量の削減に貢献し、ひいては企業に財務上のメリットをもたらす理由を説明します。

電源は環境保護に貢献できるのでしょうか?

環境保護の成功は、小さなことから始まります。産業環境では、最新の電源を導入することによって効率を向上し、エネルギーの浪費を防ぐことができます。特に、物流センターのように大規模な設備では、多数の電源を 24 時間稼働させるため、大きな省エネ効果が見込めます。

電源装置は、主電源から供給されるAC 電圧を、システムや機器が必要とする DC 電圧に変換します。その過程で、常に一定量のエネルギーが熱という形で失われます。この損失はエネルギーの浪費ですが、完全に回避することはできません。しかし、最小限に抑えることはできます。そのため、電源の開発者は、高効率の電源設計を追求することで、電力損失をできる限り低減しようと努めています。

効率の向上によって省エネを実現

重要な指標となるのが効率です。電源の効率が高いほど、電力損失が少なくなり、浪費されるエネルギーも減少します。プルスは、DIN レール電源で 95 %以上の高効率を実現しています。

この数値の意味を計算例で説明しましょう。効率が 95.2 % の場合(例:CP10.241 )、電力損失は 4.8 %となります。

出力電力 240 W の電源では、入出力間の電力損失が 12.1 W となり、この12.1 W が熱として放出されます。

事実、1 パーセントポイントの差が効率を左右します。この例で効率を 91 %に下げてみると、具体的にイメージできます。4.2 %減はさほど大きな差には思えませんが、結果として損失は 23.7 W とほぼ倍増します。

さらに電源総数を踏まえ、システム内で必要となる追加の冷却機能を考慮すれば、この差が CO2 バランスに大きな影響を及ぼすことが分かります。

電源の効率が高いほど、エネルギーの浪費が減り、CO2 排出量が削減されます。

Figure 2: 電源の効率が高いほど、エネルギーの浪費が減り、CO2 排出量が削減されます。

電源は CO2 コストを持続的に削減

ドイツ連邦環境庁は、実際の CO2 被害コストを年単位で算出しています。2021年を基準にすれば、1 トンの CO2 が引き起こす環境被害は201 ユーロに相当します。

先ほどの計算例の続きを見てみましょう。効率 91 %の電源を 100 台、1 日 21時間、年間 300 日稼働させると仮定します。このような運用を 10 年間続けると、149,310 kWh の電力が浪費されます。

ここで、CO2 排出係数を考慮する必要があります。この係数は、発電量に対する CO2 排出量の比率を表します。

ドイツ連邦環境庁の調査によれば、2020 年には 1 kWh の発電によって366g の CO2 が排出されました。

つまり、先ほどの例で効率 91 %の電源100 台が浪費する電力(149,310 kWh)は、54.6 トンの CO2 を排出していることになります。これに CO2 被害コストの係数(1 トン当たり 201 ユーロ)を掛けると、10,975 ユーロとなります。単純化するために、CO2 被害コストは 10 年間同じだと仮定していますが、現実的にはむしろ増えていくでしょう。

同じ例を、4.2%高効率(95.2 %)のプルス製電源で計算すると、CO2 排出量は27.9 トンまで減少します。よって、CO2被害コストは 5,608 ユーロに減少します。

つまり、効率が高いほど、そして耐用年数が長いほど、CO2 排出量は減少するわけです。環境への配慮や持続可能な取り組みは、結果として企業にも財務上のメリットをもたらします。

CO2 排出量の削減は、企業にも財務上のメリットをもたらします。


Figure 3: CO2 排出量の削減は、企業にも財務上のメリットをもたらします。

プルスは常に環境保護を重視

環境保護は、以前からプルスの戦略に欠かせない要素です。2022 年 3 月、マネージングディレクター兼開発責任者兼オーナーのベルンハルト・エルドルは、Markt&Technik のインタビューで、環境保護戦略について次のようにコメントしています。

CO2 削減について語るプルス株式会社の CEO 兼オーナー、ベルンハルト・エルドル。

プルスは、長年にわたり、高効率な製品を通じて、顧客の環境目標達成を支援してきました。2004 年には早くも、ベルンハルト・エルドルが別のインタビューで以下のように述べています。

「エネルギーの浪費を避け、責任を持って資源を利用することが、環境保護や気候変動対策に貢献する一番の近道です。CO2を削減するための投資は、後で被害を回復するためのコストより常に安く上がります。この取り組みは、私がプルスで昔から追求してきた企業理念とも合致します」

プルスは、自社の CO2 排出量をさらに削減するために、社内でもこの取り組みを継続的に推進しています。

例えば、チェコ共和国と中国の生産拠点では、環境に配慮したバーンイン試験を実施して、出荷前に不良品を特定・選別しています。これは、プルス製品の高い品質と信頼性を維持する取り組みの一つです。バーンイン試験では、公称負荷をかけたデバイスを周囲温度 60°Cの環境で稼働させますが、この高温環境を再現するには、特殊な温蔵庫が必要となり、温蔵庫の予熱と電源の稼働には多大な電力を必要とします。そこでプルスは、画期的なエネルギー回収システムを開発しました。これにより、電源の試験運転に必要なエネルギーの 92%以上を再利用できるようになりました。

この事例は、プルスの技術革新環境保護対策がいかに密接に関係しているかを明確に示しています。

分散化が電源に与える影響

ご存じのように、システム工学の分野では、柔軟性の高いモジュラーシステムの需要が高まっています。特に大きな進展が見られるのが、システムコンポーネントの分散化です。このブログでは、分散化が電源に与える影響とその対策について説明します。

システム企画プロセスの迅速化やメンテナンスの簡略化、スムーズな拡張が期待できるため、昨今では IP54~IP67の保護等級に対応したコンポーネントが増え、多くの現場に直接設置されるようになっています。その結果、キャビネットの小型化、さらにはキャビネットフリーの構成も可能になりました。

機械工学と分散化システムという観点から見て、電源機器はどのような位置付けにあるのでしょうか。現在市場に出回っている電源製品は、主に 3 つの設置・運用法を実現しています。

集中型キャビネット

電源を分散化プロセスに含めず、集中型キャビネットに格納します。この設置法で現場に分散した周辺機器に給電するには、断面積の大きな長いケーブルが必要となります。長いケーブルを使用すると電力の損失が生じるため、容量が大きめの電源を導入しなければなりません。

分散型オンサイトキャビネット

電源を電子ヒューズやスイッチなどの基本的なコンポーネントと共に集中型キャビネットから取り出し、より小さな分散型 IP67 キャビネットに納めます。この小型キャビネットはマシンに直接設置でき、多くの企業はこうした分散化計画や組み立てを独自に行っています。

顧客固有ソリューション

お客様一人ひとりのニーズに合わせた給電ソリューションを開発。電気仕様はもちろん、サイズや機構もシステムに合わせて設計します。

分散型電源のメリット

多くのユーザーは、分散型電源のメリットを認めると、採用に向け素早く行動に移します。そうすることで、システム企画の段階からさらに自由な設計が可能になります。ベルトコンベヤ生産ラインのように、分散化することでより高効率かつ柔軟に給電できる分野は少なくありません。必要以上に大容量の電源を設置する必要がなくなり、また、個々のシステムパーツをモジュール単位で組み合わせることができるため、従来より迅速かつ効果的な拡張・保守・移行が可能になります。

キャビネットの小型化、もしくはキャビネットフリーの構成によって空いたスペースを有効活用し、付加価値の高いシステムコンポーネントを拡張することも可能です。ケーブルの長さを短縮し、断面積を縮小できるため、銅線ケーブルのコストも削減できます。

集中型電源(プルスの FIEPOS 製品を使用しない場合)

図 1:現場の周辺機器に集中給電するには、断面積の大きな長いケーブルが必要となります。しかし、長いケーブルを使用すると電力の損失が生じるため、大型の電源装置を導入しなければなりません。

分散型電源(プルスの FIEPOS 製品を使用した場合)

図 2:分散化すれば、高効率かつ柔軟な方法でさまざまな用途に電力を供給できます。個々のシステムパーツをモジュール単位で組み合わせることもできるため、従来より効果的な拡張・保守・移行が可能になります。

電源の分散化を阻んでいた過去の障害

しかし、従来のソリューションを利用すれば、分散化電源の導入コストは依然として高いままです。例えば、シンプルな分散型オンサイトキャビネットでも、おおむね 10 以上のコンポーネントで構成されています。これをすべて、技術者が発注して保管し、最終的にはシステムに組み込む必要があります。

顧客固有のソリューションを開発すれば、さらに時間や費用がかかるため、大規模でなければ割に合いません。これまでは、在庫渡しで発注でき、設置が簡単で、3 つの方法すべてに取って代わるほど柔軟な分散型のスタンダード電源はありませんでした。

キャビネットフリー電源による解決策

プルスの開発者たちは、FIEPOS product family の発売によって、分散化市場におけるこのようなギャップを埋め、キャビネットフリーのシステムや機器を企画するうえで新しい可能性をユーザーにもたらしています。

同ファミリーのベースとなるのは、単相および三相で 300 W/500 W 出力の IP54~IP67 電源で、通信インターフェースとして IO-Link や出力 OK 信号にも対応しています。このプラットフォームをベースに、各種コネクタに対応した製品を展開しています。安全性と冗長性を向上する機能もオプションで提供しています。プルスの FIEPOS 製品ファミリーには、Basic と eFused という 2 つのシリーズがあります。

Basic series の電源は出力が 1 系統で、M12-L/-T/-A、7/8 インチ、HAN-Q シリーズをはじめとする各種プラグコネクタに対応しています。FIEPO の eFused series は、内部で保護された出力を最大 4 系統備えています。電流制御機能によって、最適な配電・保護を容易に実現できます。出力は、デバイスのフロントパネルに配したマンマシンインターフェースや IO-Link から設定・監視できます。

フィールド電源

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電源の基本的な仕組み

電源は、あらゆる電子装置・機器の心臓部です。このブログ記事では、電源の基本的な仕組みを説明します。また、AC-DCコンバータとDC/DCコンバータの違いについても詳しく紹介します。

AC-DCコンバータの仕組み

昨今の電子デバイス・機器の多くは安定したDC電圧を必要としますが、主電源はAC電圧をベースにしています。電源装置は、入力側で供給されるAC主電源を、出力側で必要なDCに変換します。そのため、電源装置はコンバータやトランス(変圧器)とも呼ばれます。

DC電圧(例:5 Vdc、12 Vdc、24 Vdc、48 Vdc)は元のAC電圧より低い場合が多く、通常はAC 100 V – 240 Vです。AC電圧は地域によって異なります。例えば、多くの地域の標準規格はAC 100 – 120 V(日本や米国など)またはAC 200 – 240 V(欧州や中国など)で、50 Hzまたは60 Hzです。

危険な高AC電圧を、デバイスや機器が必要とする安全な低DC電圧に変換することがAC-DCコンバータの主な役割です(図1参照)。

産業用AC-DCコンバータの仕組み


図1: AC-DCコンバータの役割を簡略化したイメージ

DC電圧への段階的な変換

ACの波形(図2参照)を見ると、正弦波であることが分かります。これは、電圧の極性が周期的に変化することを示しています。この図のような周波数はヘルツ(Hz)という単位で表します。50 Hzの周波数は、電圧の極性が1秒間に50回変化することを意味します。

第一段階では、トランスで高AC電圧を低AC電圧に変換します(図3参照)。トランスはガルバニック絶縁によって安全性を確保します。一次回路(230 Vなどの危険な主電源電圧)と二次回路(安全な24 V電圧)は分離されています。

多くの機器は入力側にDC電圧を必要とするため、次の段階ではAC電圧を整流する必要があります。このプロセスの結果を示しているのが、DCの波形(図4)です。整流プロセス後は、正極だけになっています。これを実現するのが、ブリッジ整流器です。

主電源からのAC電圧

図2:AC電圧の正弦曲線

AC電圧を低圧に変換

図3:最初に、高AC電圧(100 – 240V)を低電圧に変換

DC電圧の曲線

図4:DC電圧の曲線

DC電圧を平滑化

図5:平滑化されたDC電圧の曲線

出力側で安定したDC電源を確保する方法

整流するだけでは、安定したDC電源を確保できません。DC曲線のピークを平滑化する必要があります。これを行うのが、電源の出力キャパシタです。このキャパシタが、エネルギーを急速に蓄積して、2つのピークの間にエネルギーを供給します。このプロセスによって、電圧の変動を一定に抑え、曲線を滑らかにします。その結果、出力側で安定したDC電圧が得られ(図5参照)、負荷に対して供給されます。「負荷」とは、エネルギーの供給先となるデバイスや機器を指します。

これがAC-DCコンバータの基本的な仕組みです。一方で、電源の入力側がDC電圧の場合はどのような仕組みになるでしょうか?

電源の種類

AC-DCコンバータ

交流電圧を直流電圧に変換する、AC/DC変換用の電源です。AC/DC電源には、非安定化電源と安定化電源の二種類があります。さらに、安定化電源はリニア電源とスイッチング電源に分類されます。

DC/DCコンバータ

DC/DCコンバータによって、直流電圧をより高い、または低い直流電圧に変換したり、長いケーブルの末端で直流電圧を回復させたりできます。

DC/DCコンバータとは

「DC/DCコンバータ」は総称で、小さなオンボードコンバータからスタンドアロンの産業用機器まで、各種コンポーネントやデバイスが含まれます。ここでは、プルスが専門とするスタンドアロンの産業用コンバータについて説明します。

DC電圧を昇圧/降圧

産業用DC/DCコンバータには様々な用途があります。既存DC電圧の昇圧(例:12 Vdcから24 Vdcに)や降圧(例:48 Vdcから24 Vdcに)もその一つです。

DC電圧の回復

出力側にも入力側と同じ電圧を供給するDC/DCコンバータは、DC電圧を回復させるためにも使用されます。これは、長いケーブルを使用する場合に必要になります。電源線の電圧降下は軽視されがちです。

遠隔地と車両

DC/DCコンバータは、バッテリーやソーラーパネルのようにエネルギー源がDC電圧の場合に必要となります。そのため、DC/DCコンバータは、遠隔地や電気系統を内蔵した車両で多用されています。

電源品質が不安定な地域

主電源の品質が非常に不安定な国々(インド、マレーシアなど)にある多くの工場では、DC 200 – 300 Vを内部供給しています。例えば、半導体業界では、工場全体にDC電源が供給されています。停電の際には大型のバッテリーに切り替え、バッチ全体を廃棄するような事態を防止しています。そのため、多くの産業用AC-DCコンバータは、高DC電圧(例:DC 110 – 150 V、最大DC 300 Vまで)を入力しても動作します。

産業用DC/DCコンバータの仕組み

図6:産業用DC/DCコンバータの基本的な機能

DC/DCコンバータの基本的な仕組み

産業用DC/DCコンバータは、既存のDC電圧を入力として用います。次に、AC-DCコンバータと同様にトランスでガルバニック絶縁を行い、必要な出力電圧に昇圧または降圧します。ガルバニック絶縁では、電源の入力段と出力段を絶縁します。これはグランドループを遮断し、必要な安全対策を徹底する上で重要です。

その後、電圧を再び平滑化します。出力側では、電気的に絶縁した安定化DCを降圧/昇圧したり、電圧レベルを回復させたりして提供します。

このブログ記事では、コンバータとして機能する電源の基本的な仕組みを説明しましたが、これ以外にも、さまざまな技術を備えた多様な電源があります。例えば、最新のスイッチング電源は非常に複雑な仕組みで、電圧変換のプロセスに加えて多くの機能を備えています。

このトピックについては、次のブログで詳しくご紹介する予定です。