保護等級は、電気機器が異物や湿気の侵入に対してどの程度保護されているかを示します。このブログ記事では、どのようなIP保護等級があり、それぞれの違いは何か、および電源を選択する際の注意点について説明します。
ほこりや湿気などの環境の影響により、電源内の電気部品の機能が損なわれる可能性があります。さらに、機器の内部を、工具、ネジ、ワイヤーなどの異物の侵入やユーザーによる接触から保護する必要があります。特に電源を制御キャビネット外で使用する場合は、電源の選択時に保護等級、いわゆるIPコード(International Protection Code)を考慮する必要があります。電源は、保護等級が環境条件に適合している場合にのみ、安全に使用でき、コストのかかる故障を防ぐことができます。
IP保護等級の種類
保護等級は通常、略語のIP(「International Protection」、英語では「Ingress Protection」も一般的)と2つの特性数字(例:IP20、IP54、IP67など)で構成されます。
第一特性数字は接触および異物、砂、ほこりの機器への侵入に対する保護の度合いを示します。第二特性数字は水と湿気に対する保護の度合いを示します。
産業用電源では保護等級の決定においてDIN EN 60529が基準となります。道路運送車両についてはISO規格20653:2013もしばしば適用されます。ただし、これはスチームジェットなどの高圧洗浄からも保護する必要がある車両の電気コンポーネントのみを対象とします。
電源との関連では、保護等級が保護クラスと混同されることがあります。保護等級は異物や水の侵入、接触に対する保護に関連しますが、IEC保護クラスはユーザーを感電から保護するために電源の構造と絶縁を規定します。
次の表は、IP保護等級の特性数字の意味の一覧です。
異物 | |
o | 保護なし |
1 | 直径 50 mm以上の固形物が入らないように保護(手など) |
2 | 直径 12 mm以上の固形物が入らないように保護(指など) |
3 | 直径 2.5 mm以上の固形物が入らないように保護(工具など) |
4 | 直径 1 mm以上の固形物が入らないように保護(ワイヤーなど) |
5 | 接触からの完全な保護と粉塵からの保護 |
6 | 接触からの完全な保護と防塵 |
水 | |
o | 保護なし |
1 | 鉛直に落下する水滴が入らない |
2 | 筐体が傾斜(15 °以内)しても鉛直に落下する水滴が入らない |
3 | 鉛直から両側に60 °までの角度で噴霧した水によって機器が影響を受けない |
4 | あらゆる方向からの水の飛沫によって機器が影響を受けない |
5 | あらゆる方向からの噴流水によっても機器が影響を受けない |
6 | 強力な噴流水によっても機器が影響を受けない |
7 | 一時的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない |
8 | 継続的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない |
9 | 高圧および高温の噴流水によっても機器が影響を受けない |
産業用電源で一般的な保護等級
必要とされる保護等級は、設置場所とそれぞれの用途の環境条件によって異なります。顧客に直接供給する電源メーカーは通常、業界標準として確立され、選択されたIP保護等級を備えた製品のみを提供します。以下の表は、産業用電源で最も一般的な保護等級の一覧です。
保護等級 | 異物 | 水 | 用途 | ||
IP20 | 2 | 直径12 mm以上の固形物が入らないように保護(指など) | 0 | 保護なし | 制御キャビネット内など、保護された環境での使用 |
IP54 | 5 | 接触からの完全な保護と粉塵からの保護 | 4 | あらゆる方向からの水の飛沫によって機器が影響を受けない | 制御キャビネット外での分散型使用 |
IP65 | 6 | 接触からの完全な保護と防塵 | 5 | あらゆる方向からの噴流水によっても機器が影響を受けない | |
IP67 | 6 | 接触からの完全な保護と防塵 | 7 | 一時的に水中に沈めた場合でも機器が影響を受けない |
S特殊な用途で接触保護と湿気保護の追加の組み合わせが必要な場合は、顧客別の電源ソリューションを提供可能です。
IPX4やIP6Xの意味
電子機器では、異物または水の2つの特性数字のうちの1つに関してのみテストされることがよくあります。
「X」は、製品が当該の特性数字に適したテストを受けていないことを示します。したがって、これは、保護等級表の任意の値に単純に置き換えられる変数を意味するものではありません。
IP6Xの電源は接触に対する完全な保護を提供し、防塵性を備えていますが、水の浸入についてはテストされていません。同様に、IPX4の電源は飛沫水からの保護に関して必要なテストは受けましたが、異物の侵入に関してはテストされていません。
プルスの電源で提供される保護等級
プルスは上述の保護等級を備えたさまざまな電源を提供しています。製品は2つのカテゴリーに分類されます。
保護等級 | 用途 | 製品ファミリー |
IP20 | 制御キャビネット内など、保護された環境での使用 |
|
IP54 | 制御キャビネット外での分散型使用 | FIEPOS |
IP65 | ||
IP67 |
{{widget type=”MagefanBlogBlockWidgetPostLink” anchor_text=”分散化対策” title=”このブログ記事では、電源の分散化について学べます。” entity_id=”9″}}が進む中、今日では産業用電源において保護等級が以前にも増して重要な役割を果たしています。DC電源は、保護を提供する制御キャビネット外で、機械に直接設置される機会が増えています。作業員の安全と電源の機能を保証するには、すべてのシステムコンポーネント(PLC、HMI、センサーなど)について一律に保護等級IP54以上が必要です。
プルスはこうした用途向けに、いわゆるフィールド電源、{{widget type=”MagentoCatalogBlockCategoryWidgetLink” anchor_text=”FIEPOSファミリー” title=”FIEPOSソリューションの詳細。” template=”category/widget/link/link_inline.phtml” id_path=”category/38″}}を開発しました。
まとめ
保護等級は、機器が異物や湿気の侵入に対してどの程度保護されているかを示します。ほとんどのIPコードは2つの特性数字で構成されています。第一特性数字は接触や異物に対する保護を表し、第二特性数字は水や湿気に対する保護の情報を提供します。数字が大きいほど、保護力が高くなります。制御キャビネット内で使用される産業用電源については、保護等級IP20が一般的です。保護された環境外で稼働させる場合には、IP54やIP67など、より高度な保護等級を選択する必要があります。