この移行が煩雑でわかりにくいのは、特定の適用分野において、新規格のEN 62368-1よりも有利な点がある他の新しい整合規格が同時に発表されたためでもあります。詳細については、プルスの2つのホワイトペーパー「産業用電源はUL 508規格からUL 61010規格へ」および「EN 61010 ― 産業用途の電源のための新規格」、または「ZVEIガイドライン:電源向け安全規格の選択」を当社のウェブサイトから入手のうえ、ご参照ください。
EU官報によると、これらの規格は、低電圧指令に準拠した機器の電気的安全性を確保することを目的としています。低電圧指令の適用範囲には、50VACまたは75VDCを超える公称電圧を使用する電気機器が含まれます。DC/DCコンバータ、冗長モジュール、DC-UPS、電子ヒューズなどの機器は、50VACまたは75VDCよりも高い電圧が供給される場合にのみ対象となります。
IEC 60950-1に準拠したCB証明書やCBレポートは、EN 60950-1から新規格に移行した後も引き続き有効であり、国際的な証明書として重要な意味を持ちます。これらは特に新規格をまだ認知していない国において、今後も有用です。
また、旧規格に準拠してテストされた機器の安全性について心配は無用であると認識することも大切です。規格移行の目的は、1つの共通の基準への統合を実現し、新しい安全アプローチやハザードベースのアプローチ、すなわち「ハザードベースのコンセプト」を導入することにあります。
プルスのDINレール電源は、主に産業環境で使用されています。そのためプルスでは、この用途向けに定められた新規格であるEN/IEC/UL/CSA 61010-2-201を最も重視しています。EN 61010-2-201は、EU官報では整合規格の1つとされていることから、EU適合宣言書で承認された適合性推定とともに、低電圧指令の安全目標を評価する目的で使用することができます。
しかし、EN 61010-2-201では不十分な用途や、新規格EN 62368-1に対するユーザーの期待度が高い用途も存在します。これは実際には「EU市場への製品投入」のルールとは関係のないことではあるものの、メーカーとユーザーの間で合意しなければならない追加的な仕様です。
プルスでは、新規格に対する期待にお応えするために、幅広い電源製品(特に新規開発された製品や近年導入された製品)を対象に、IEC 62368-1に準拠したCBレポートを提供することもできます。今後は、それぞれの電力クラスと出力電圧に対応した同等製品を提供していく予定です。最近発売した製品は、すでにEN 62368-1の「特性」を踏まえています。EN 62368-1に準拠したテスト済みの製品は、このページの最後に記載しています。ご不明な点がありましたらプルスまでお問い合わせください。
ただし、これらよりも古い製品をEN 62368-1に準拠させるためにはいくつかの(多くはないものの)変更を加えなければならず、製品の一部の機能に影響を及ぼす可能性があります。プルスは、多くの既存アプリケーションとの互換性に関する問題を最大限回避できるよう配慮しています。製品仕様の変更によって、多くのユーザーは設計の見直しを迫られる等の大きな影響を受ける場合があります。
プルスは、EN 62368-1の第4.1.1条が、IEC 60950-1に準拠したサブアセンブリの再評価なしでの使用を(簡潔な表現であるものの)認めていることに注目しています。ただし、IEC 60950-1に準拠した電源を使用するケースでも、基本的には、システム全体のEN 62368-1への適合性を示すEU適合宣言書を発行することが可能です。
IEC 62368-1準拠のCB証明書を取得済みの製品:
- PIM36.241
- PIM60.121, PIM60.125, PIM60.241, PIM60.245
- PIM90.241, PIM90.245, PIM90.245-L1
- PIC120.241C, PIC120.242C, PIC120.241D
- PIC240.241C, PIC240.241D
- PIC480.241C, PIC480.241D, PIC480.481D
- CP5.121, CP5.241, CP5.241-S1, CP5.241-S2, CP5.242, CP5.481
- CP10.241-S2, CP10.241-R1, CP10.241-R2
- CP20.241, CP20.241-S1, CP20.241-S2, CP20.241-V1, CP20.241-R1, CP20.241-R2, CP20.242, CP20.481
(2020年4月時点)