電源のサビ:腐食はどれほど有害か
産業用電源のサビは安全上問題ないのでしょうか?このブログでは、どのような腐食が無害か、どのような場合に対処すべきかを説明します。また、サビを防止する上で腐食試験がいかに役立つかも説明します。
サビが生じる理由
サビは、二酸化硫黄や窒素酸化物などの腐食性ガスがもたらす影響の一つです。特に金属素材が湿気の多い環境に置かれると、こうしたガスによって腐食が進みます。それによって電子機器の経年劣化が早まり、最悪の場合は、耐用年数内であっても部品や装置の不具合や故障につながります。腐食性ガスは、程度の差こそあれ、様々な環境に存在します。なかでも加工産業、製紙工場、下水処理場、道路交通設備、農場などは他より腐食の影響を受けます
サビは通常、ハウジングやねじの外観を損なうだけですが、のコネクタ部分に生じる場合もあります。ラグコネクタやリレーコンタクト、はんだ接合のような電気接続部を構成する重要なコンポーネントにサビが発生すると、機能低下や故障の原因となります。
ここでは、白サビと赤サビという 2 種類の代表的なサビについて詳しく見てみましょう。
白サビと赤サビの違い
腐食の影響を判断するには、サビの種類についての知識が不可欠です。亜鉛めっき鋼板などの亜鉛面には、表面全体に酸化亜鉛の薄い層、つまり白サビが生じます。外観は白っぽい光沢があります。この層は表面に付着しており、剥がれませんが、指でこすると少し薄くなります。
通常の白サビは害がなく、外観をやや損なうだけです。ただし、塩分と結合すると害をもたらす場合があります。塩分や塩霧が酸化亜鉛と結合するとエフロレッセンスが生じ、結晶が形成されます。こうしてできたエフロレッセンスや結晶が割れると、電子機器のショートを引き起こすこともあります。そのため、塩分にさらされることが予想される海洋施設や道路工事用機械に亜鉛めっき面を使用すべきではありません。
赤サビは鉄鋼材に昔から見られるもので、防食が不十分な場合に発生します。広がりやすく、導電性の高い赤サビは、エフロレッセンスによって短絡を起こしやすいため、防食対策を講じる必要があります。亜鉛メッキ鋼板、刃先、ねじなどに発生する赤サビの程度は、亜鉛めっきや防食の品質や均質性によって異なります。
電源のサビを防ぐためにできること
通常、サビの除去には非常に時間がかかり、特別な装置が必要です。産業用電子機器の清掃を専門とする業者もあるほどです。よって、電源のサビは事前に防ぐことが最善の方法です。
自社で使用している電源の設置環境を分析してください。
- 自社で使用している電源は、腐食を促進する物質(「腐食促進物質」の囲みを参照)にさらされていませんか?さらされている場合、どのようなガスにどの程度さらされていますか?
- 電源を設置している環境の湿度はどの程度ですか?
- 電源は塩や塩霧にさらされていませんか?
- 温度変動が激しい環境ですか?
- 電源などの電子部品は IP 規格に対応した制御キャビネットで保護されていますか?
電源の購入を決定する前に、次の項目について製造元に確認してください。
- はんだ付け用の銀などの材料は腐食性ガスへの反応を加速させます。電源の設計にはこのような材料が使用されていますか?どの程度使用されていますか?
- プリント基板は高品質ですか?銅トレースには上質なスズめっきが施されていますか?
- プラグコネクタのコンタクトピンは適切なサイズのハウジングによって腐食性ガスから保護されていますか?
- コーティングとシーリングにシリコンを使用していますか?使用していれば、サビ防止にわずかながら役立ちます。シリコンやシリコンのコーティングにはガス透過性があるため、腐食性ガスからはほとんど保護できません。
- ポテンショメーターやリレーのような部品はシールドされたものを使用していますか?
- ねじをはじめとする金属部品は防食性に優れていますか?
サビを未然に防止する上で腐食試験がどのように役立つか
腐食試験は、電気通信業界や自動車産業で長年一般的に実施されてきました。加工産業、道路工事、風力発電といった分野でも、腐食試験は品質を確保する上で重要です。
信頼できるメーカーは腐食試験を実施し、腐食の影響がないこと、あるいは規定値以下であることを検証しています。適切に設計された電源装置は、長期間にわたり確実に機能するため、わずか数年で交換する必要はありません。
腐食挙動を実際に評価するには、実際の運用環境に極めて近い条件で腐食試験を実施する必要があります。腐食性ガスの濃度設定に加え、実際に使用されているような状態で、試験サンプルの動作シミュレーションを行うことが重要です。連続運転モードでは、常に加熱されるため、腐食しやすい素材周辺の水分が減少し、腐食しにくくなります。二酸化硫黄の反応に必要な水分が連続運転中には通常発生しません。
そこで、一定時間ごとに試験サンプルの電源をオン/オフする循環運転モードにすれば、より有意な結果が得られます。このような低温/高温の変動によって生じる空気の流れが湿気を発生させ、二酸化硫黄との反応を促進し、腐食を進行させます。電源の場合は、この低温/高温効果が特に重要です。制御キャビネットにホットスポットを発生させるからです。
腐食性ガスの濃度を上げれば、試験時間が短縮されます。例えば、わずか 21日間の試験で 10 年以上運用したような状況をシミュレーションできます。
次のブログ記事では、環境シミュレーション試験で採用される IEC 規格と、プルスが製品設計に取り入れている予防策について説明します。