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電源の基本的な仕組み

電源
用途

電源は、あらゆる電子装置・機器の心臓部です。このブログ記事では、電源の基本的な仕組みを説明します。また、AC-DCコンバータとDC/DCコンバータの違いについても詳しく紹介します。

AC-DCコンバータの仕組み

昨今の電子デバイス・機器の多くは安定したDC電圧を必要としますが、主電源はAC電圧をベースにしています。電源装置は、入力側で供給されるAC主電源を、出力側で必要なDCに変換します。そのため、電源装置はコンバータやトランス(変圧器)とも呼ばれます。

DC電圧(例:5 Vdc、12 Vdc、24 Vdc、48 Vdc)は元のAC電圧より低い場合が多く、通常はAC 100 V – 240 Vです。AC電圧は地域によって異なります。例えば、多くの地域の標準規格はAC 100 – 120 V(日本や米国など)またはAC 200 – 240 V(欧州や中国など)で、50 Hzまたは60 Hzです。

危険な高AC電圧を、デバイスや機器が必要とする安全な低DC電圧に変換することがAC-DCコンバータの主な役割です(図1参照)。

産業用AC-DCコンバータの仕組み


図1: AC-DCコンバータの役割を簡略化したイメージ

DC電圧への段階的な変換

ACの波形(図2参照)を見ると、正弦波であることが分かります。これは、電圧の極性が周期的に変化することを示しています。この図のような周波数はヘルツ(Hz)という単位で表します。50 Hzの周波数は、電圧の極性が1秒間に50回変化することを意味します。

第一段階では、トランスで高AC電圧を低AC電圧に変換します(図3参照)。トランスはガルバニック絶縁によって安全性を確保します。一次回路(230 Vなどの危険な主電源電圧)と二次回路(安全な24 V電圧)は分離されています。

多くの機器は入力側にDC電圧を必要とするため、次の段階ではAC電圧を整流する必要があります。このプロセスの結果を示しているのが、DCの波形(図4)です。整流プロセス後は、正極だけになっています。これを実現するのが、ブリッジ整流器です。

主電源からのAC電圧

図2:AC電圧の正弦曲線

AC電圧を低圧に変換

図3:最初に、高AC電圧(100 – 240V)を低電圧に変換

DC電圧の曲線

図4:DC電圧の曲線

DC電圧を平滑化

図5:平滑化されたDC電圧の曲線

出力側で安定したDC電源を確保する方法

整流するだけでは、安定したDC電源を確保できません。DC曲線のピークを平滑化する必要があります。これを行うのが、電源の出力キャパシタです。このキャパシタが、エネルギーを急速に蓄積して、2つのピークの間にエネルギーを供給します。このプロセスによって、電圧の変動を一定に抑え、曲線を滑らかにします。その結果、出力側で安定したDC電圧が得られ(図5参照)、負荷に対して供給されます。「負荷」とは、エネルギーの供給先となるデバイスや機器を指します。

これがAC-DCコンバータの基本的な仕組みです。一方で、電源の入力側がDC電圧の場合はどのような仕組みになるでしょうか?

電源の種類

AC-DCコンバータ

交流電圧を直流電圧に変換する、AC/DC変換用の電源です。AC/DC電源には、非安定化電源と安定化電源の二種類があります。さらに、安定化電源はリニア電源とスイッチング電源に分類されます。

DC/DCコンバータ

DC/DCコンバータによって、直流電圧をより高い、または低い直流電圧に変換したり、長いケーブルの末端で直流電圧を回復させたりできます。

DC/DCコンバータとは

「DC/DCコンバータ」は総称で、小さなオンボードコンバータからスタンドアロンの産業用機器まで、各種コンポーネントやデバイスが含まれます。ここでは、プルスが専門とするスタンドアロンの産業用コンバータについて説明します。

DC電圧を昇圧/降圧

産業用DC/DCコンバータには様々な用途があります。既存DC電圧の昇圧(例:12 Vdcから24 Vdcに)や降圧(例:48 Vdcから24 Vdcに)もその一つです。

DC電圧の回復

出力側にも入力側と同じ電圧を供給するDC/DCコンバータは、DC電圧を回復させるためにも使用されます。これは、長いケーブルを使用する場合に必要になります。電源線の電圧降下は軽視されがちです。

遠隔地と車両

DC/DCコンバータは、バッテリーやソーラーパネルのようにエネルギー源がDC電圧の場合に必要となります。そのため、DC/DCコンバータは、遠隔地や電気系統を内蔵した車両で多用されています。

電源品質が不安定な地域

主電源の品質が非常に不安定な国々(インド、マレーシアなど)にある多くの工場では、DC 200 – 300 Vを内部供給しています。例えば、半導体業界では、工場全体にDC電源が供給されています。停電の際には大型のバッテリーに切り替え、バッチ全体を廃棄するような事態を防止しています。そのため、多くの産業用AC-DCコンバータは、高DC電圧(例:DC 110 – 150 V、最大DC 300 Vまで)を入力しても動作します。

産業用DC/DCコンバータの仕組み

図6:産業用DC/DCコンバータの基本的な機能

DC/DCコンバータの基本的な仕組み

産業用DC/DCコンバータは、既存のDC電圧を入力として用います。次に、AC-DCコンバータと同様にトランスでガルバニック絶縁を行い、必要な出力電圧に昇圧または降圧します。ガルバニック絶縁では、電源の入力段と出力段を絶縁します。これはグランドループを遮断し、必要な安全対策を徹底する上で重要です。

その後、電圧を再び平滑化します。出力側では、電気的に絶縁した安定化DCを降圧/昇圧したり、電圧レベルを回復させたりして提供します。

このブログ記事では、コンバータとして機能する電源の基本的な仕組みを説明しましたが、これ以外にも、さまざまな技術を備えた多様な電源があります。例えば、最新のスイッチング電源は非常に複雑な仕組みで、電圧変換のプロセスに加えて多くの機能を備えています。

このトピックについては、次のブログで詳しくご紹介する予定です。